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パネルディスカッション「加入者自身による商品選択への支援 ~事業主の立場から~」

ーーー運用専門委員会での議論を経て、商品の選定はより労使が積極的に関わっていく方向性が打ち出され、社員が適切な配分をできるよう、継続的な教育の重要性が確認されました。本日はその点で素晴らしい先駆的な取り組みをされている2社にご登壇いただき、いろいろ伺っていきたいと考えています。それでは早速、ご所属の企業とDC制度の概要をご説明いただけますか?

濱中
DCの制度運営スキームは、代表事業主である基金が運営管理機関としての認可を得ており、基金から運営管理機関業務を受託する運営管理機関が並列して3社あるという特徴があります。加入者は3社の中からひとつを本人が選ぶしくみです。ただし、運用商品は3社共通なのでどの運営管理機関を選んでも商品は同じになるようにしています。
小川
従業員が多国籍化し、国内の事業運営を行う上でも退職金・企業年金制度を含む各種人事制度をグローバルな観点で設計したり、運用の見直しを行ったりしていくことが強く求められています。退職金・企業年金制度は、一時金、キャッシュバランスプラン(CB)、DCの3つがあり、毎年、職務等級ごとに定められた退職金ポイントを積み上げていくしくみです。概算で、一時金5%、CB80%、DC15%の割合で受給する制度設計となっています。DCの掛金は、加入者自らのリスク許容度に応じてCBとDCに配分する割合を職務等級ごとに4つの掛金パターンの中から自分で選べる仕組みとなっています。マッチング拠出も導入しており、利用率は59%です。

ーーーいずれも特徴のある制度ですね。選定やモニタリングを実際にどのようなことをされているのか教えていただけますか?

濱中
「加入者が納得できる運用商品の提供」を実現するために、労使半々のメンバーで構成する「商品選定委員会(以下、委員会)」を設置、複数のコンサルティング会社に具体的な商品案の策定を依頼し、その結果を委員会で検証、運営管理機関である基金に助言するという流れです。従業員にこのプロセスを説明した印象としては、専門的知見が活かされていること、プロセスの透明性が高いことに加え、福利厚生部門である基金が選んでいるということもあって、納得とともに安心感があるという方が多かったように思います。
その後のモニタリングは、基金の方で定性評価・定量評価を四半期ごとにモニタリングし、加入者にその結果を常時開示しています。DBの基金で行っている四半期報告会をDCでも同じように行っているということです。
小川
商品のモニタリングについて言えば、当社は、投資信託の資産残高が約75%であり、社員の運用方法は世間一般よりリスク選好型と言えます。現在は8割以上の方が想定利回りを超えるパフォーマンスとなっています。DC導入後10年が経過しましたが、運用商品のパフォーマンスを信託報酬控除後で比較してみたところ、ある外国株式ファンドが一番良かったのですが、パッシブがアクティブを上回る成績で、国内株式でも同様の結果でした。加入者のDC資産の最大化という点で考えると、運用商品の選定において「適切な信託報酬の水準」という観点は重要だと考えています。

ーーー加入者、特に若手が非常の保守的な配分をすることに頭を悩ませている担当者様が非常に多いので、小川さんが新入社員研修で説明をどのようにされているかお話しいただけますか?

小川
新入社員には給料以外の福利厚生や退職金といった報酬の全体像を説明し、DCの位置づけを理解してもらいます。その上で、現在の経済情勢を踏まえて、どうすれば今後の可処分所得を増やせるのかに関心を集めた上で、節税メリットのあるマッチングや資産運用の話をしています。その結果、DCウェイトの高い掛金パターンを選択する割合が飛躍的に増え、CBウェイトの高い掛金パターンが劇的に減り、マッチングの利用率も高くなっています。
また、掛金パターンの名称も、CBの割合が高い「基本パターン」を「Dパターン」という名称に変更しました。「基本」という言葉が前面に出ると、心理的なバイアスがかかるのか、基本パターンを安易に選択する傾向があったので、フェアに選択していただけるように変更しました。こういう「選択バイアスを除去する」小さな工夫・見せ方も結果的に大きく影響すると考えています。

ーーー選ぶための考え方の部分に力を入れられているということですね

小川
はい。それと、具体的な商品1つひとつというよりも商品カテゴリー、例えば「債券」とは何かといった資産クラスの説明はかなり丁寧に行っていますし、説明会後、会場の後ろで、気軽に質問できる場も作るようにしています。

ーーー富士通さんは現在、「加入者に商品を選んでもらう」というところに重点を置いていろいろな方法で継続教育を展開されていると思うので、それについて教えてください。

濱中
継続教育は、「コスト」と「情報の質」で3社の外部の運営管理機関にお願いするか、基金である運営管理機関で内製化するかを決めています。例えば商品に関する情報提供やコールセンターでの問い合わせ対応・シミュレーションツールの提供などは、企業の独自性が活きるわけではないのでお願いしています。逆に基金で行っている継続教育としては、集合研修や個別相談などがありますが、ここではメールマガジン(以下、メルマガという)についてご紹介したいと思います。メルマガというと画一的な内容を全員に送りつけるイメージがあるかもしれませんが、私たちは運営管理機関であると同時に代表事業主でもあるという特長を活かして、メールの送付先を経験と年齢・運用状況という軸で9つに区分けをし、その区分に合った内容の配信を行うことができます。
現在、セグメントした内容でメールをしているのは資産配分未指定者の方で、毎月「配分指定を行って下さいね」とご案内し、毎年開催する集合研修を行う際にも他の方々よりも先に開催案内を通知し、研修への参加を促します。研修の場で、実際に運用指図ができるよう、ID・PWとスマホやPCを持参してもらうようにしています。
配分を行うまで、このサイクルでメールを送り続けています。そして、これをやってみてわかったことは、これくらいやってようやく「配分する」という行動に結びつくという実感です。

ーーー来年は「運営管理機関の業務について5年ごとのモニタリング」が施行されます。運営管理機関と良い緊張関係を保つヒントをお願いいたします。

濱中
3社とお付き合いしてみて感じていることは、それぞれの運営管理機関ごとに強みがあるということです。事業主側の求めるサービスも刻々と変化しますから、委託先の運営管理機関だけでなく、さまざまなルートでの情報入手が大事だと思います。
小川
制度変更や商品選択、その他事業再編等に関する大事な意思決定を行う際は、運営管理機関以外のセカンドオピニオンの意見ももらうようにしています。また、このフォーラムのような場には参加し、他社事例や世の中の動向に関する情報収集を行い、必要があれば運営管理機関に要望を伝えています。例えば、当社で言えば英語対応や難しいテーマのコンサルティングをお願いすることが多いです。加入者に対するより良いサービスを実現するために、運営管理機関とお互いの要望や提案を率直にコミュニケーションができる関係の構築も重要だと思います。

ーーー本日はどうもありがとうございました。

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