基調講演「確定拠出年金制度における運用の改善について」

確定拠出年金(DC)法が改正され、昨年6月に公布されました。今回の改正は広範・多岐にわたりますが、本日は運用の改善に関わる措置を中心にお話ししたいと思います。

まず第1点は運用商品の提示に関する改正です。従来は「元本確保型商品を含む少なくとも3つ以上の商品」であったのが、分散投資を促すために「リスク・リターン特性の異なる3つ以上の商品」の提供義務となりました。また、商品数に上限を設けるとともに、これまで「商品選択者全員の同意」が必要だった運用商品の除外要件を、「3分の2以上の同意」に改めました。

第2点は、指定運用方法(いわゆるデフォルト商品)に関する措置です。現在、企業型DCの63.5%がデフォルト商品を設定していますが、法律では考え方等が明文化されていません。これを、加入者の指図権に配慮しつつ、指定運用方法の仕組みを法律で規定しようというのが改定の趣旨です。その概要は、①運営管理機関(以下、運管)等は、あらかじめ指定運用方法の内容を加入者に周知し②商品を選ばない加入者には商品選択を行うよう通知し③それでも一定の猶予期間を経過した場合は自動的に指定運用方法を購入する――というものです。その結果は加入者が指図したものと見なされ、本人による指図と同等の法的効果が生じます。

こうした改正点の詳細は政省令に委ねられますが、施行に先立つ社会保障審議会・専門委員会による検討結果が、去る6月に報告されました。そこでは、運用商品数の上限は「35本」、指定運用方法の基本的な考え方と基準などが提言されています(厚生労働省ウェブサイトを参照)。

そして第3点が、従来は「配慮義務」であった継続投資教育の「努力義務化」です。現状、継続投資教育を実施している事業主は約58%であり、その機会に恵まれない加入者も少なくありません。

そこで改正法では、継続投資教育を事業主の努力義務にするとともに、継続投資教育が困難な事業主から委託を受け、企業年金連合会が継続投資教育を共同実施できるようにしました。すでに開始していますが、今後は内容をより充実させていく予定だと聞いています。

今回の法改正の基本は、「加入者自らによる運用商品選択の支援」にあります。この目標に向け、制度運営に関わる全ての方々の一層のご尽力をお願いたします。

第6回 日本DCフォーラム ダイジェストレポート

基調講演
確定拠出年金制度における運用の改善について
厚生労働省 青山 桂子氏

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特別講演
ライフプラン3.0と資産形成
~人生100年と確定拠出年金~

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 伊藤 宏一氏

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教育事例紹介
DCエクセレントカンパニー表彰
表彰式・受賞企業による教育事例紹介

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パネルディスカッション
加入者自身による商品選択への支援
~事業主の立場から~

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協賛社紹介
運用会社プレゼンテーション

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